大事な撮影の想い出
私にとって、胸のとても柔らかでふかふかなところに大切にしまわれている撮影の思い出がある。
「何が正しいかとかなんて、いまはわからないの。
でも、写真を今撮ることだけはきっと、とても正しいことだって、そんな気がしたんだ」
私の大好きなMさんは、そういって私に家族撮影を頼んでくれた。
Mさんは高2の女の子のお母さんで、旦那さんと三人暮らし。
Mさんのお父さんは70代で奥さんと二人暮らしだけれど、大変な病気にかかってしまってこれからどうなるかがわからない状態とのことでした。
その治療の方針の違いなど色々な事が重なってしまってMさんとお父さんはかなりぶつかっていたそう。
すれ違いの中でこれからどういう風にやっていくのが正解なのかわからない。
そんな色々な気持ちがそれぞれに渦巻く中で、
『本格的な治療に入る前、おじいちゃんが元気なうちにみんなで家族写真を残そう。今まで写真を撮ったことなんてないけれど、いま写真を残しておくことだけは、とても良いことな気がする』
と感じたと話してくれた。
私はその気持ちを聞いて、心が震えた。
本当にその通りだな、と思った。
そして、こういう撮影をたくさんしていきたい、と強く思った。
私は初めて会う人とは撮影の前に必ず2〜3時間くらいはお話をしてから撮影をするようにしています。
家族撮影をする時は、できればお家でご飯をご一緒させてもらって親戚みたいに溶けこんだ形で撮影をする。
おじいちゃんおばあちゃんは恥ずかしがり屋だったり、写真なんて嫌だ!という方も多い。
でもでも、とても不思議なもので、いつものお家にお邪魔しておなじごはんを食べるといつの間にやら孫風に早変わり。笑
とても柔らかい素敵な表情が自然と撮れるんだよなぁ・・。
この日も、そうやって撮影させてもらいました。
写真なんて恥ずかしい!一人で撮影しないで!というおばあちゃん。照れる姿が可愛すぎて激写。笑
ごはんを準備してくれるおふたり。
こうやって、ずっと長い間この台所にふたりで立ってきたんだな、と思うと言葉にできない想いが湧いてきて、思わずシャッターを切る。
おいしいごはんを食べたあとは、すぐ近所にある有名な日本家屋にみんなで出かけた。
入院したり病院に通う中で、それ以外にめっきり外出することが減っているから嬉しい、近くでも普段来ないところだからまるで遠くまで旅行にきたような気分になるね、と言いながら笑うみんな。
私も旅行にご一緒させてもらっている気分でとても嬉しくなる!
腕をつないで、肩に手を回してみてください!というとこの表情!
思わずこっちが笑顔になっちゃう!
隣に座るお父さんもいいかんじ!笑
おじいちゃんを真ん中にして囲む。あたたかな命の灯火。
せっかくだから、おじいちゃんおばあちゃんの2ショットも撮りましょう!というと、最初は恥ずかしがっていたけど撮らせてくれた。
とってもいい笑顔!!!
肩を組んでください♡というとおじいちゃんがすかさず肩を組んでくれた。
「こんな事するの、本当に何年ぶりかわからない!」
といって思わず大笑いするおばあちゃん。
その笑顔が本当に少女みたいで!!!
きっと数十年前も、二人は同じような笑顔をいたんだろうなぁ。
おじいちゃんは、お孫さんのNちゃんが大好きで大ファン!!
いつも会うたびに大喜びしているそう。かわいい・・。。
見つめあう二人の表情に、たまらなく笑みがこぼれる私。
そのあとお家に帰ってまた撮影。
小さい頃Mさんが育ったおうちで、こたつを囲んで三人でおかしを食べる。
きっと昔も、幼い頃のMさんが同じ光景で時を過ごしていたんだろうな。
時間が経つこと、うまれること、おとなになっていくということ、老いること。
そのすべての嬉しさと悲しさを内包する、生きると死ぬということ。
目の前の時間が、シャッターを切るたびに永遠の一瞬になっていく。
小さい頃みんなで並んで座ったこたつ。
変わっていくもの、変わらないもの。
切なくって悲しくって、でもだからこそ心から嬉しくて愛おしい。
生きるということ。
孫のNちゃんは、賞をたくさんとるほど習字が上手!
おじいちゃんの好きな言葉を書いてプレゼントしたい、ということで習字道具を持ってきていた。
『本当に大事なものはゴミ箱の中にある』
おじいちゃんの好きな、本の言葉。
その光景を隣の部屋から「へー」とか「わー素敵」とか言いながら見る女の子(完全に女の子)ふたりが可愛すぎて、思わずシャッターを切る。
可愛すぎですあなた方ふたり、、、うん・・・。
おじいちゃんの大好きな、庭の木。
このお花をあと何回見れるかな、と笑った。
お家の前で、記念写真。
家のお庭で、おじいちゃんの大好きなNちゃんとの2ショットを撮った。
こんなにぎゅっと抱きしめてもらうのなんて、初めてだ!
おじいちゃんは本当に嬉しそうに笑った。
Nちゃんも、とっても優しい顔で、少し照れながら笑った。
涙がこみあげた。
きっと、ほんとうは、すべてのことは難しくない。
撮影が終わったあと、私はMさんおひとりの写真がぜひ撮りたいです!とお願いして、一緒にお庭に行った。
Mさんは、夕焼けの光に照らされて、わらった。
ほんとうに、優しくきれいだった。
たくさんたくさんの悩みの渦中。
100%の嬉しさ、楽しさ、そんなものからくる100%の爆発の笑顔ではないかもしれない。
でも、悩みながらでも自分なりにすべてに向き合うMさんは、ほんとうに、ほんとうに清らかで美しくてきれいだった。
とてもつよいひとだと思った。
何よりも美しい笑顔だと感じた。
撮影が終わったあと、Mさんと家族のみんながいった。
「ここ最近、ほんとうにみんな辛くて悩んでいて全然笑えていなくて・・・。
でも、今日とっても楽しくてたくさん笑ったね。
それがすごくすごく嬉しかった!ほんとうにありがとう、千明ちゃん」
その言葉に私はびっくり!
私の前でこんなに楽しそうに笑うみんなが、最近笑えていなかったなんて!!!
そんなこと微塵も感じないくらいに、ほんとうに素敵な笑顔をたくさん見せてくれた1日だった。
写真はたった一瞬の出来事だということ、私は知っている。
その瞬間笑っていても、撮影が終わって次の日には、次の瞬間にはまた朝が来るのが怖いほどに、なにかに怯えてしまうかもしれない。泣いてしまうかもしれない。
写真に残ったその輝きは、ほんの、ほんの一瞬だって、知ってる。
でも、その一瞬の輝きがあったことをたしかに形に残せるということ。
その一瞬の輝きがほんとうにあったということ、それが生きる希望になるということを、私は知っている。
私はその人の悲しみのすべてをわかることはできないし、何もしてあげられないかもしれない。
写真を撮ることしかできないかもしれない。
だけど、写真を撮ることができるんだ。
どうか、この時間の美しさを、尊さを、
何度でも何度でも忘れてもいいから、何度でも何度でも思い出してほしい。
あなたの過ごす毎日は、毎瞬は、きっと、とっても綺麗だから。
そんな思いを込めて、私はシャッターを切っています。
そうして撮影した写真たちは、私の胸の大切なところにある宝箱にしまわれていく感覚なんです。
それが、みんなの生きている姿が、私の生きる希望になっていく。
本当に、ありがとうでいっぱい。。。!
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Chiaki Toyozumi
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